なるがままにされよう

このGブログも6年目に入りました。気が向いたときに書きます汗

1997年8月 四国一周 バイクツーリング記 第7話

なるがです。

 

日記も気づけば7話!結構書いてたんだなーと驚いてます。

ここで初めて銀マット登場。

これで2日分だから、4日分書き上げる頃には13話くらいになると・・おえっ。

少々満腹気味ですが頑張って完成させるぞ~。

 

 

それでは。

第7話いきます。

 

 

一晩だけの思わぬ連れ 続き

今晩はここ「道の駅 宿毛」での野宿なのだが、俺も一人で寝るのは心細かったので嬉しかった。彼もまた大阪から来ているライダーで、愛車はなんと俺と同じ「Honda Steed」!しかも600cc!大型免許持ちか!それだけで神のような存在に感じる。

 

空がきれいなのでテントは張らず、銀マットとシュラフのみ取り出し、芝生の上に敷く。満天の星空を肴にビールを飲みながら静かに語り合う。猫が一匹寄ってきたのでポテチをあげてたら居ついて離れなくなってしまった。

そろそろ寝るか。23:00をまわっている。シュラフへ潜り込み空を見上げると、一面覆い尽くしそうな星の数に感動した。二人で空を見上げながら話しているうちに、いつの間にか眠りについていた。

 

本日の走行距離  約270km

 

9月28日 四国一周ツーリング 3日目

夜中何やら騒がしい。バンで乗り付けた7~8人の男女が海岸の方で叫びまくっている。酔っ払いか?大声で歌い出すし、うるさくて寝られやしない。さらに車がバンバン出入りを繰り返している。夜中は若者のたまり場になるのか~これは失敗したかも。 

いつの間にか彼らもいなくなり、再び静けさを取り戻した。さっきの猫が隣で置き物のように佇んでいる。タバコを1本ふかしていると、物音ひとつしない時間に不思議な気分になった。再び眠りについた。

 

朝陽と共に目が覚める。今日もいい天気に恵まれそうだ。5:30、少しひんやりとした朝の空気がすがすがしい。

夜露でシュラフが湿っており、中も汗をかいて湿っている。屋根が無いとこんな風になるのか。芝生の上だからなおさらだったのかも。

バイクにシュラフをかぶせ、日光に当てて干す。その間に湯を沸かし、2人分のコーヒーを淹れる。そして海辺へコーヒー片手に朝の散歩。普段の朝より何倍も贅沢な時間だ。とても気持ち良い。

大阪から来ている彼は、俺とは逆ルートで周っている。名前は聞かなかった。

彼のsteed600は結構イジり倒していて、明るくなって全貌を見るとだいぶイカツイ。本人もヒゲと坊主頭でかなりイカツイが。

俺のsteedと200㏄しか変わらないのに、ドドンドドンと排気音の重厚さが全然違う。

 

別れと旅立ち

時間は過ぎ、しばらくすると1台バイクが入ってきた。steed600の彼と佐田岬で会ってるらしく、話しかけてきた。ついでにその人に写真を撮ってもらう。

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そろそろ8:00になる、出発するか。

あまり深入った会話は無くとも、ただ一晩だけたまたま居合わせただけなのに、心に残る思い出となった。

何故なんだろう。名前も知らない、たった6時間足らず過ごしただけで、俺の心に深く残るものとなった。これが旅の良さなのか。

 

世話になった「道の駅 宿毛」を2台並んで発進する。互いに別方向なので分岐でいったん停車、互いに顔を見合わせ親指を立て、

「いい旅を!」

そう言い合って別れた。

その言葉ひとつには本当の心がこもった、あらゆる意味を持ち、最高にカッコよく、他には何もいらない、それだけですべてが分かる挨拶だった。

後ろ向きのままバックミラーから消えて居なくなるまで手を振り続けた。

 

もう何とも言えない気持ちになる。これまでは別れは淋しいように感じたが、この時ほど気持ちを新たにさせてくれたのは初めてだ。相手を思いやり、心から無事を祈り、見送る。別れが淋しいのは自分の事しか考えてないからだ。

相手の事を心から思いやったとき、別れは二人にとって新しい出発になる。淋しいとは思わなかった。今日も一日頑張って走るぞという思いが、体全体にいきわたる。朝の清々しい空気が一層気持ちを引き締める。『いい旅を!』最高の言葉だ。

 

四国最西端 佐田岬へ向けて

宿毛市を抜け、宇和島市へ入る。56号線から378号線に乗り損ねて15kmほど引き返した。明浜町から三瓶町へ、道が狭く民家の間をくぐり抜けていく道だ。ゆっくり進む。たまに大きく宇和海が現れる。そしてカーブの連続だ。

しかし車の通行量が少なく、天気もいいし景色もいい。何も文句は無い。ミカン畑が暖かい国なんだと心を柔らかくしてくれる。

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ほのぼのとした空気が流れている。ここには都会のような雑音や心の疲れなんか無い。この空気を吸い込んでなるがままに(これはオリジナルの書き込み)流されていたい。余計な事は何も考えず、すべてを委ねてみたくなる。

時計を見るとちょうどお昼だ。少し休憩しよう。休憩と言ってもただぼーっとタバコをふかすだけなんだが。店らしき建物もないし、あるのは大きな海と太陽と、昨日の残りのポテチのみだ。

とりあえずバイクから降りて堤防の上にドッカと腰を降ろした。目の前には青々とした海が広がっている。ザザ~ッという波の音と、たまに通る車の音以外は聞こえない。ぼーっとするには最適だ。

 

四国一周の旅ももう半分を越えてしまった。たった2日前の出来事が、ずいぶん前の事のように思える。それだけいろんな体験をしてきたんだ。中身の濃い一日を送ってきたんだなぁと感慨深いものがある。