なるがままにされよう

このGブログも6年目に入りました。気が向いたときに書きます汗

1997年8月 四国一周 バイクツーリング記 第10話

なるがです。

 

今治でのチャリダーとの出会いのおかげで、当初の友人に会うという目的はすっかり忘れており、その後は思い出しもしませんでした。

旅も終盤に差し掛かり、得も言われぬプレッシャー、サザエさん症候群にも似た焦りを感じるようになります。ツーリングの終盤はいつもこんな感じだったような気がします。ぼちぼちと仕事の事が頭に浮かぶようになり、現実に戻る準備に入ったかと淋しい気分にもなります。

 

それでは。第10話です~。

 

一晩だけの思わぬ連れ 続き

23:00をまわり、あっという間の楽しい時間は過ぎた。チャリダーとでもこんなに分かり合えるんだと、とても嬉しかった。

寝ようとするが、なんとゴキブリが出現!街中だとこんな所にも出るのか。

さすがにシュラフのみで寝るのは抵抗がある。そこでやっとテントの登場だ。使わずに終わりそうだと思ったが、まさかこんなところで使う事になろうとは。

 

I君に手伝ってもらいテントを組み立てる。あとは寝るだけ。I君はテントを持っておらず一緒に寝ることに。二人用テントとは言え実際寝てみると異常に狭い。しかしゴキブリの脅威から逃れるには致し方ない。でも修学旅行のようで楽しくもあった。少し話をしながら眠りについた。

今日の出会いと、無事でいられた事、ここまで頑張ってくれた相棒に感謝して。

 

 

本日の走行距離 約370km

 

8月29日 四国一周ツーリング 4日目 最終日

少し涼しくなってきて目を覚ますと、テントの中が明るくなっている。朝だ。

時刻は5:30。外に出てみるとすごく気持ちいい。うーんと体を伸ばしてみる。今日もいい天気だ。朝陽と共に起きるのは何て気持ちいいんだろうとつくづく思う。この3日間は自然と共に生活している気がする。

4日目の朝、今日はとうとう最終日だ。無事帰れることを祈って今日もまた走ろう。テントをたたみ、顔を洗って一服する。公園なので所々にジョギングしてる人たちが見受けられる。この場所にもすでに人が上がって来ており、怪訝そうな顔でこちらを見ていく。

7:00、そそくさとその場所を立ち去る。

 

一生の思い出

I君はこのすぐ近くの泰山寺へ寄ることになっている。彼とも別れの時が来た。だけど淋しくはない。頑張れよ、と励まし励まされ、お互いの道へと走り出す。

一人になるとまた気分が新しく生まれ変わる。朝の冷たい空気の中を走り、いつしか彼の事は消えてゆく。けれども心の中には一生消える事のない彼がいる。

くどいが、本当に人との触れ合いとはいいものだ。旅に出る人たちもこの様な体験をしてきているんだろうか。これだから旅はやめられないのかも。

 

銭形平次の砂絵

今治市を抜け196号線から11号線、讃岐街道を走る。

8:00頃にはすでに渋滞気味でノロノロ運転を余儀なくされる。ちょっとしんどい。今日は観音寺市の『寛永通宝銭形』の銭形砂絵を見に行く事に。

ほどなくして到着。

展望台から眺めると、銭形平次で見たやつが目の前に。

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なんでも、この銭形を見た者は健康、長寿、お金に不自由することがないと言われてると聞き、拝んできた。南無。

 

心ここにあらず

この頃から少し気持ちが萎え始めているのが自分でも分かる。それでも最終日だからと心を奮い立たせ、次の目的地の五色台へと向かう。

しまいには海岸線沿いを走る気力も失せて、交通量の多い国道11号線を高松へ向けて走る。大きな幹線道路だと楽で考えなくていいから。

心にぽっかりと穴が開いたというか、完全に腑抜け状態で五色台に到着。

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五色台スカイラインに乗ってみるが、全然楽しくない。

なんなんだこの虚しさは。

バイクを止めて景色を眺めるも、全然感動しない。

タバコをふかしながら思うのは、これまでの素晴らしすぎる出来事だった。心ここにあらず、とはよく言ったものだ。

淋しくはないなどと言っていたが、これほどまでにやられるとは意外だった。

 

ここで俺の気持ちは途切れてしまった。もう帰ろう。

 

帰りは行きと同じく大鳴門橋を通り、淡路島~自宅の予定だったが、なんか走るのが疲れたのでフェリーで帰ることにした。

調べてみると、徳島港から大阪南港行きのフェリーがある。これに乗ることに決定。そうしたら少し気持ちが楽になった。ここへ向けての四国ラストランになるからだろう。再び11号線に乗り徳島港を目指す。

 

四国一周

香川から徳島に入り、海岸線を快走。そうしてしばらく走っていると、見覚えのある景色が。

3日前、大鳴門橋を渡ってきて、四国一周への第一歩を始めた道路だった。

 

ここも覚えている、これも覚えている。少し走ると吉野川に差し掛かった。橋を渡りながら、あぁ、この河川敷、炎天下の中あそこで寝てたよな~。今までのなつかしい思い出が途端によみがえってきた。

 

同時にこの瞬間、俺はついに四国を一周したんだと実感した。

 

中央分離帯越しの対向車線から、荷物を満載にしたライダーがこっちに向かって大きく手を振ってきた。まるで一周おめでとうと言ってくれてるかのようなサインだった。俺も大きく手を振ってそれに応えた。

 

四国一周!俺はやったぞ~!!

達成感が半端じゃなかった。本当のゴールはここではないが、とにかく俺は、嬉しくて嬉しくて仕方なかった。