なるがままにされよう

このGブログも6年目に入りました。気が向いたときに書きます汗

さとうきび畑の唄

なるがです。

 

  昨晩Youtubeを見ていまして、何気なく見たドラマが物凄く、もの凄く良かったのです。最近見たどんな映画やどんなドラマよりも心に響きました。

2003年のドラマなんですがもう16年も前のドラマだったんですね。この前ゲオで3本借りた映画が3本ともクソつまらなくて不完全燃焼だったんですが、これは本当に10本分の価値がありました。16年越しの出会いに感謝です。

冬ソナこと『冬のソナタ』です。

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韓国ブームの火付け役にもなったこのドラマ、めちゃ面白かったです。大人気になったのも頷けますよね!これは確かに面白かった!

 

…ではなくて、

何のドラマかと言いますと、すでにタイトルに答えを書いてるのでお気付きの通り、『さとうきび畑の唄』という太平洋戦争時の沖縄戦を舞台にしたドラマです。

沖縄戦といってもドンパチやる戦闘モノではなく、家族愛、生命の尊さや生きることにフォーカスした、比較的子供でも理解しやすい人間ドラマになっています。

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  そして主演はなんとあのお笑い芸人の「明石家さんま」です。父・幸一役で出演しているのですが、とてもいい演技をしてます!さんまはミスキャストだとかお笑い芸人にはテーマが合わないとか言われたりもしてますが、全然そんなことないです!寧ろさんまさんだから良かったのです。めちゃくちゃ良かったですよ。とてもいい味出してました。逆にさんまさん以外ではこの役は務まらないんじゃないかと思いました。

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  沖縄戦というと一般市民が戦闘に召集されたり、軍主導による集団自決、女子学生のひめゆり部隊などが挙げられます。そして本土上陸までの時間稼ぎ、即ち捨て駒として沖縄が充てがわれていた事実です。戦禍の巻添えに遭われた大変多くの方が亡くなられました。それまで幸せに暮らしていた多くの家族が僅か1年余りの間にバラバラになり凄惨な地獄を見たのです。

 

  沖縄にはこのような悲惨な悲しい記憶があります。僕もまだ沖縄についてあまり理解していなくて目下勉強中なのですが、沖縄の人たちの苦悩は計り知れないものがあると思います。ドラマはフィクションとはいえ、沖縄で起きていた事をとても分かりやすく映像化していると思いました。脚本も良かった。

 

  そしてこのドラマの元になった歌があります。森山良子さんが唄う『さとうきび畑』。いろんなアーティストに歌われていますが、中でも森山良子さんが代表的な存在ですよね。

作詞作曲は寺島尚彦という方です。あの印象的なフレーズの歌い出し「ざわわ ざわわ ざわわ」はさとうきびが風で揺れる音を表現していますが、寺島氏は現地を訪れた際それが畑の下でいまだ眠っている多くの死んでいった人たちの声に聞こえたと言います。その時この曲を作ろうと決心されました。


森山良子「さとうきび畑」(from 『Concert Tour2007-2008』)

  この歌を聴いていると直ぐそこまで情景が浮かんで来ます。沖縄のいくさを知ってから聴くと歌詞の内容が一層心に沁みます。このドラマの中でも主題歌として使われていますが、自分の血や肉の様に調和しており、まるで沖縄そのものの様に感じられます。空気、色、暑さ、静けさ、悲しさ、淋しさ、切なさ、喪失感、虚無感…。とても優しくて切ないメロディ、優しいギターの音色。「お父さんどこにいるの」の歌詞が悲しくて泣いてしまいそうです。こんなに情景を思い浮かべて聴ける曲は他にありません。名曲中の名曲です。

あの凄惨な地上戦とのコントラストで、余計に静けさが強調され、戦争は終わったけど何もかもが無くなってしまった…的な、もの悲しい何とも言えない感じがします。

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  さて、ドラマの方を見てみると、さすが豪華な役者陣です。皆さん良い芝居をなさってます。僕的には次男・昇役の勝地涼さんの演技が胸を打つものがありました。

特に最期のシーン、過去の楽しかった思い出を回想し、一瞬で表情が砕けます。悔し泣きしつつ決心して敵に突っ込み、17歳という若い命を呆気なく散らしてしまう場面です。悔しかったろうな。そういう思いが見ている者に強烈に伝わる場面です。

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あとは後半シーン、ガマから出て米軍に投降した際、次女役・春子(大平奈津美さん)が恐る恐る発した『Do you kill me?(私を殺すの?)』に対し、米兵が「そんな事しないから 大丈夫だよ」と優しく頭を撫でたシーン、泣けました。

これも長男・勇(坂口憲二さん)の結婚相手、紀子(仲間由紀恵さん)の伏線があってなんですが、隣にすでに亡くなってしまった彼女がいる。こんな脚本がとても上手いですよね。

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 他にも本当にたくさんの名場面があるのですがやめときます!

ですが最後に! さんまさんに負けない名演技と、このドラマのほぼ主役とも言える妻役の『黒木瞳さん 』ですね!この方の演技はやはり凄いです。幸一が戦死した事を知り声を殺して泣くシーンがかなり胸熱でした。

  実はこのドラマに巡り合ったのもYoutube閲覧中サムネイルに黒木瞳さんが映っているものがあり、余りにも美しかったので、おっ?ちょっとだけ見てみるべ。とクリックしたのが出会いでした(笑)動機が不純過ぎると言わないでください。たまには役に立つ事もあるもんです。

 

  翌日が休みだったので、夜中0時過ぎからドラマを見始めたんですが、眠くなるどころかグイグイとのめり込んでいました。まさか全部見てしまうなんて。見終わったら4時でした。ゲッ!24時間起きてるやん!!

しかし久々に良いドラマを見ました。自然と涙が出てくるのも久々でした。泣くと気持ちがすっきりしますね。

 

しかし当時の人たちとの涙の質は違いすぎます。

悔しかったり、悲しかったり、辛かったり、今の平和な時代に生まれて本当に良かったなと、考えさせられます。だけどこの平和も一年後にはどうなっているか分かりません。当時だって本当に少し前まで幸せな一日を送っていたのです。僕らが明日の平和を過ごしている保証など無いのです。

みんな死んでしまった。過去の戦争は、その戦争で起きた事はこれからも語り継がれなければなりません。そして僕らが出来るせめてもの事と言えば、それを知り、たまに思い出す事なのだと思うのです。

戦争は二度と繰り返してはいけません。

 

戦争を知らないすべての人たちに見て欲しいと心から願う、そんな素晴らしい作品でした。