ご無沙汰しております。最後に書いた記事からなんと10カ月も経っていました。とうとう死んだかなー?と思われたと思いますが、まだ何とか生きております…(笑)。書きたい時に書くスタイルなのでこれくらいがちょうど良いんですよ。
その間何をしてたのかと言いますと、主にピアノ練習です。(それだけかよ)
過去記事で触れていますがピアノにハマってしまい毎日の様に練習しています。韓国のピアニスト「イルマ」の曲を現在弾いているのですが、クラシックにも興味が湧いてきまして、次に練習を予定しているのがヘンデル作曲の『オンブラ・マイ・フ』です。
ゆっくりな曲調は僕にも弾けそうだな…と思いまして(笑)この曲はなんかいいんですよ。
『オンブラ・マイ・フ』(Ombra mai fu)
詳しい説明は割愛いたします。(書かんのかい)
めちゃ簡単に説明すると、「この木陰は地上最強だわ~癒される~」という事らしいです(歌詞がある)。メロディのテンポからして、ああ、そんな感じだな~って納得しました。
さて、前置きが長くなりましたが、久々に筆を取ろうと思ったのは、ちょっと心にくる出来事がありまして、記憶に留めておきたいと思ったのです。
心にくる出来事なんて、普通に生活していればめったやたらに出会う事も中々ないですよね。それがあったんですよ!(いいから早く本文を書け)
2日前、仕事から帰ったのは夜の11時過ぎ。すぐに家に入らず、いつものように玄関ポーチの階段に座り、とりあえずタバコに火をつける…これが僕のルーティン。このタバコが一日の終わり、締めみたいなもんです。
ふと横の地面を見ると何やら黒い物体が。一瞬…ヒッ!となりましたが、なんだ「コウモリ」かよ…しかしヤツ(ツバメ)はこんなものまで餌にするのか……。今年もまたツバメが軒下に現れ、現在子育て真っ最中なのです。
僕はヤツ(ツバメ)が不要になったのであろうその「コウモリ」をピッ!と足で払いました。すると、なんとまだコウモリは生きてるではないか。……ん?コウモリ……じゃない?
おいおい!こりゃツバメのヒナだぞ!
可哀想に…巣から落ちたのか、はたまた「間引き」にあったのか……何故そこに落ちたのか、親ツバメに聞かない事には分かりませんが、ヒナはまだ覚束ない羽を弱々しくバタつかせながら僕の方を向いている。あわわわ…!コレどうすんだ?巣に戻そうにも高くて届かないし、仮に戻せたとしても親ツバメが「不審者侵入!」と僕が送り込むヒナを再び追い出すかもしれない。
困った僕はタバコの火を消して、奥さんに相談しに行った。
「ツバメのヒナが落っこちてんだけど、まだ生きてる…!どうしたらいい…!」
奥さん「落ちたらもう無理やで?自然に任せとき」
とまぁ、ある意味ド正論、自然の摂理に従うのが一番良い方法なのは分かるが…その返ってきた言葉に「はい分かりました」とはならないんですよ。「血も涙もないのかよ…この鬼畜ッ!!」とは言いませんでしたが、僕はこのヒナをなんとかしてやりたい、このまま冷たい地面の上で死んでいく運命だとしても、親ツバメがこの子に気づいて再び世話するかもしれないように……そんな事を考え、救出する事を決意しました。
だけど……何したらいいの?!
はっ……こんな時こそAIだっ!僕はAIに聞いてみました。
『箱にクッションを敷き、ヒナを置いて、暖かくすること』
要約するとこんな答えが返って来ました。
僕は代用出来るものを探しまくり、『プラスチックの箱、ティッシュペーパー、ハンディモップのもふもふ』を用意しました。もふもふを半分に割いてベッドにし、その周りにティッシュを敷き詰め、真ん中に優しくヒナを置きました。……ふぅ、ひとまずこれでヨシ…!完璧じゃん!
ひと仕事終えた僕は再度タバコに火を付けると、横に何やら黒い物体を視認……ひっ!ゴキブリっ!!!と思ったら、なんともう一羽ヒナが落っこちてる!おいおいお前もかよ!親!何してんねん!
と言いながら、さっきのヒナより更に小さなヒナを優しくつまみ、もふもふベッドに寝かせました。
だけどまだ問題が。このまま地面に置いてもアリの襲撃や野良猫、カラスなどに捕食されるので、出来るだけ巣の側、高い場所に置く必要があるとの事、確かに…。
悩んだ末に導き出した答えは、「脚立の上に箱を設置する」でした。ガムテープで動かない様ぐるぐるに固定しました。しかし!脚立と言えど、用意出来たのは腰くらいの高さのもの……。AIに聞くと、『地面に置くよりは何百倍もマシ、これでも充分』との答えが。
ツバメが世話をするのに高さはあまり関係ないらしい。その代わり一旦設置したら絶対にその場所を動かさない事。動かすと親が見つけられないばかりか、不審がって世話をしなくなるんだそうです。…ああ、AIがいてくれて本当助かった!
実は僕は生き物を助けてあげた、という経験が今の今まで無かったのです。そんな場面に出くわさなかったのもあるし、見ても素通りするしかない事がほとんど。でも今回は自分の家の敷地内で起こっている出来事。これがやっぱり放っておけなかったのです。
気づけばもう日を跨いで午前様になっていました。箱の中で懸命にもがくこの子らは酷く弱々しく、親を求めてるのか僕にチチチ…と鳴くばかり。とりあえずこの子達が一晩持ち堪えてくれる事、翌朝に親ツバメが気付いてくれる事。僕に出来るのはここまでが精一杯で、あとは祈る事しか出来ずその夜は寝ました。
翌朝6時、すでに親ツバメはせっせと巣のヒナ達に餌を運んでいます。だけど、脚立の上のヒナ達には何もしていない様子…。後ろ髪を引かれる思いで仕事に出かけました。どうか親が気づいてくれる事を祈って…。仕事中もあの子達はどうしてるだろうかと気掛かりで、でも正直なところ望みは限りなく薄いだろうなとは感じていました。
夜11時過ぎに帰宅、タバコも吸わずに脚立の上の箱を一目散に確認しに行く。案の定、親ツバメが来た形跡は見受けられない。中のヒナ達は……軽く動かしてもピクリともせず、寄り添うようにして亡くなっていました。ああ、やっぱりダメだったか…。
この子たちは親ツバメに気付いて貰えたんだろうか、それとも「間引き」で初めから見捨てられていたのか…。奇跡が起きてくれることを願いましたが、これが自然の厳しさという事なんだよな。
僕はタバコに火を付け、ため息をつきながらドッカと腰を下ろすと、ふぅ~…と一息ついた。
僕の後ろにいる、動かなくなったヒナ達を背中で感じながら、「何とかしてやりたかったな~」とばかり思う。でも、もう何もしてやれることは無くなってしまった。
…あ、そうだ…この子たち玄関の花壇に埋めてやろう。昨日奥さんが「過去にそういう子たちを何回か埋めてきた」と言ってたのでそれを思い出したのです。知らない所でそんな事もしてくれてたんだな…いつもは鬼嫁(失礼w)のようだけど、実は僕よりずっと優しかったのかも……。
家に入ってすぐに取り掛かるつもりだったのに、なんだかんだしていたらすっかり時間が無くなってしまい、結局明日の朝、埋葬することにしました。
…と言いながら朝もできませんでした……朝はギリギリまで寝てるから当然できる訳が無いのです(笑)
仕事中に心配することは無くなったけれど、あの生きていた頃のヒナ達と、死んでしまったヒナ達の情景が頭にこびりついて離れません。今日こそ帰ったらすぐに埋葬してやらねば。
夜11時頃に帰宅。箱に近づくと……うっ!臭い!!たった一日と言えど日中はかなりの気温です。腐敗が始まって強烈な臭いを発していました。
僕はスコップで花壇の日当たりのいい部分を深めに堀り、その中に亡骸を二つ、優しく寄り添うように並べて納めました。(くっさ~と言いながら)そして土をかけて埋めてやりました。これで僕の仕事はすべて終わった。
いや、あと一つある。僕はタバコに火を付け花壇の横に座り一息吹かしました。線香代わりにタバコの煙で弔ってやることにしたのです。
いつもの場所に戻ってタバコをふかしていると、頭の中に「オンブラ・マイ・フ」の曲が流れてました。この一仕事終えて、物音ひとつしない静かな空間に佇んでいると、そのメロディがとても強烈に心に響いたのです。そばで眠るあの子たちを見ながらだと、まるでレクイエムのようでした。そんな僕の後ろで「ポタポタッ…」と呑気に糞なぞ落としやがるツバメ……。
「おい!親!お前らの子供らを弔ってやってんだぞ?ちゃんと見とけよ?」
親ツバメ:「何か知らんけど、あのおっさん子供らに「もふもふベッド」作ってくれた奴だよな。亡骸も埋葬してくれてるみたいで……あざす!」
『最高の木陰』があの子らにとっては最期の『もふもふベッド』であり、今眠る『暖かい土の中』なんだと思うと、この曲はぴったりだなと思いますし、この子らが亡くなる直前にそう感じてくれていたら……と願わずにはいられません。短いほんの僅かしか生きられなかった命を僕自身が目の当たりにした時、この曲は、少し悲しく、切なく、そして穏やかでした。
これにて僕のツバメ騒動の幕は降ろされました。この後僕は「オンブラ・マイ・フ」の楽譜を購入し、練習を始めるのでしょう。そしてたぶん……いや必ず、この子たちの事を思いながら弾いて行くのだと思います。そして僕が曲をマスターした日に、正式にあの子たちへ向けて「レクイエム」としてこの曲を捧げたいなと思っています。
あの時ヒナを自然の摂理だと言って放置していれば、こんな気持ちにならないし、記憶に残ることもない、ピアノ曲も「レクイエム」とはならず、「最高の木陰」のままだったでしょう。
ツバメのヒナを助けたという、ほんの小さな出来事から始まったこの騒動?は、なんと「オンブラ・マイ・フ」という曲まで引っ張り出して僕の心にがっつりと記憶に残るものとなった。本当にどこで何がどうなるか分からないもんです。点と点が繋がったような感覚、これってあの子たちから僕への贈り物のように感じました。とても素晴らしい『記憶』という贈り物です。
花壇に眠るあの子らにはいつでも会えるから。
ただ一つ気がかりなのが、最初コウモリだと思って足でピッ!と払ってしまったこと……。(ごめん、致命傷になってないよね……汗)
ともあれ、今あの花壇は僕にとって特別な場所です。きっと兄弟たちが巣立っていくのをそこからいつでも応援してるんだね……そう思いながら、僕も応援されてると思ってピアノに向かいたいと思います。





