なるがです。
先週のお題 「激レア体験」について今回はお送りしたいと思います。
先週のお題ですのでエントリーに完全に漏れてるのですが、元々漏れてるブログですのでその辺は気にしないで書く事にします。
僕の激レア体験とはズバリ、「記憶喪失」です!…いえ、ちょっと大袈裟に言いました。
本当のところを言うとプチ記憶喪失とでも言いましょうか。そんな体験をした事があります。
これからこの事について説明をしていくのですが、長い人生の中でもなかなかこの様な体験をする人はあまりいないんじゃないでしょうか。この記憶喪失というものはですね(いいから早く本文を書け)
まさに激レア体験でした。
期待を持たせてあまり引っ張り過ぎるとアレなんでそろそろ本文に移る事にします。
記憶を無くしたのは大体10分くらいの短いものだったと思うのですが、そもそもそれすらあまり覚えていません。
今から15年前の9月、バイク事故で頭部を強打し、数分間記憶を喪失、自分はここで何をしているのか、ここは何処なのかが全く分からなかった体験をしました。
よく言う「ここはどこ?私は誰?」状態です。これが記憶喪失というものか!と身をもって知る事となりました。
今でも覚えているのは事故の瞬間と、あれ?俺何してるんやろ?という場面です。
その日は仕事を終えてあと10分程で家に到着という地点を走っていました。時刻は21時過ぎだったかな。
時間差信号付きの横断歩道に差し掛かる手前、進行方向の信号は青を表示、そのまま問題なく横断歩道をクリアする筈でした。その時の時速は90km〜くらいだったと思います。
当時は大型バイクに乗っており、直線ストレートなのをいい事についアクセルを開けて加速してしまったのです。
その時左側からひょこっと原付が顔を出しました。
あちらの信号は赤だし、特に気にしなかったのですが、なんと信号を無視して飛び出て来たのです。
(画像はイメージ。もう少し幅が広く流れの良い幹線道路です。)
目の前数メートルの距離、あかん!ぶつかる!と咄嗟にフロントブレーキをガッ!と握りました。
時速90kmからのフロントのみのフルブレーキングがどうなるかは大体見当がついていましたが、やってしまった〜と思う間も無く、やっぱり僕は吹っ飛びました。
ブレーキングは後7、前3というバランスで行うのが安全と言われています。この時の僕はそんな余裕は全く無く、フロント10でガツン!とやってタイヤがロックしたのでした。
タイヤがロックするとは、タイヤの回転が止まった状態で車体が滑っている事を意味します。その状態ではまともに体勢を整える事が出来ず転倒しやすくなります。
当時乗ってたバイクはABS(アンチロックブレーキシステム)が装備されておらず、急制動はなるべく避けなければならなかったのですが、実際に飛び出しに遭遇するとやってしまうものですね。
てかそもそもスピードの出し過ぎが原因なんですが…。
間一髪衝突は避けられましたが、原付はサーっと走り去り、僕は宙を舞っていました。
両手でハンドルをガッ!と握り締め「ンッガァーッ!!」とか叫んだのを覚えてます。
しかし猛烈な慣性によって身体は浮き上がり、すでにバイクとアスファルトが下方に見えていました。手がハンドルからもぎ取られ、
「あちゃー、やってもーたわ〜!」
と思いました。
次の瞬間には、ヘルメットを地面にガリガリガリー!と擦り付ける音を聞きながら
「あーオレ今滑ってるわー」
と、メットのシールド越しに見える異様な景色をただ何も出来ず見ているのみでした。
動きが止まり、これはオレ死んだかな〜と思いきや、身体が動く…。
「おっ⁈ 生きてる…」
生きてる間にそう何度もないであろう、心の底から出た感想でした。
そして立ち上がれる事にも驚きました。
しかしです、立ち上がって辺りを見渡すのですが、
「…ここ何処や??」
毎日走っている道なのは知っているのに、どうしても、どうしても分からないのです。思い出せないとはまた違う感覚です。
そして「オレどうなったん?てかこの場所知ってる筈なのにぜんっぜん分からん!」
そうして立ち尽くしている僕のところにおっちゃんが走ってきて、
「にーちゃん大丈夫か!今救急車呼んだったからな!」
と言ってくれたんですが、僕は状況が理解出来ず「ああ、はい…」と答えていたと記憶しています。
そんな事よりひたすら「ここは何処やねん!」とばかり思っていました。これを確認しない事には頭の中が整理出来なかったのです。
道路は渋滞が発生しており、スポットライトの如くたくさんのヘッドライトがこちらに向けて眩しい光を照らしておりました。
ここでようやく自分の怪我に気付きます。右腕はズルムケでしたが、他に大きな怪我もなく、右半身の擦り傷と打撲だけの様でした。
そうしている内に救急車が到着、首に輪っかをはめられ、歩けるけど担架に乗せられて搬送されました。搬送中はこれから俺はどうなるんだろうという思いだけでした。
治療後は再び現場に戻り警察の実況見分が行われたと記憶してます。この頃にはすでに記憶も戻ったのですが、事故を起こしたショックからか、ボーっとしばらく現場から動けませんでした。
事故直後の様子で驚いたのは、皮の太いベルトが真っ二つにスパッと綺麗に切れていた事です。有り得へん切れ方です。あとはエンジニアブーツのカカトがもげていた事、ジーパンが破けてズタボロだった事くらいです。
夏だったのでいつもなら半袖で乗っているのですが、たまたま最近買ったライディングジャケットを着ていたのです。これのおかげで腕の怪我も軽症で済んだのです。当然ジャケットはズタボロですがコイツには本当に感謝しています。
バイクが転倒したあと路肩に停車中のダンプに突っ込んだそうです。事故直後に見た時は道路の真ん中にバイクが止まっていたのですが、フロントフォークがグニャリと曲がっていたので、コケただけでこんなになるか?? と不思議に思ってました。
ダンプに当たって跳ね返った車体が真ん中に戻ってきた、という事です。
後から警察で分かったのですが、衝突時2トンの圧力がかかっていたそうで、バイクと一緒に突っ込んでいたら即死だったそうです。あの時ハンドルを握り続けていたら死んでたんだな〜と思うと僕は本当に運がいい。
バイク(CB1300)は廃車となりました。ローンをあと1年と4か月残したままヤツは逝ってしまいました。しかし僕の身代わりとなってくれたのですから、本当に感謝してもしきれません。
まさにコイツです。2003年モデル。短い付き合いでしたがそれでもコイツとは色んなところへ行きました。
まぁ、という訳でこの様な体験をしてから早15年近くも経ったのですが、とにかく今思うのは「生きてて良かった」これに尽きます。あとは命を粗末にしてはいけないという事です。
スピードを出し過ぎた事深く反省してます。
そして激レア体験は「記憶喪失」もそうなんですが、今、分かりました。
「おっ⁈ …生きてる。」
この感想こそ激レアそのものではないか。
子供たちが巣立った頃、バイクが解禁されるのですが、その時はまた同じCB1300を選ぶかもしれませんね。でもスピードはもう出しません。